オイル交換をサボった代償はあまりにもデカすぎる!!
車両やオイルグレードにもよりますが、ヤマルーブの中間グレードならリッター2000円ほど。オイル量が1.8LのR25がオイル交換をするとして、そこに工賃を加えたとしてもせいぜい5、6000円程度。
対してオイル交換せずにエンジンがやられてしまった場合の修理代金は数十万も見えてきます。どっちがの方がいいかは明白です。
とはいえ何のために交換しているかわからないものにお金を払うのは抵抗があるというもの。ここではまずエンジンオイルとはどういったものかを解説します。
エンジンオイルの役割
エンジンオイルはエンジンの中を巡り、多くの役割を果たしています。もし無ければエンジンはすぐに焼き付き、運動を止めます。エンジンオイルはバイクが生きるためには必須なケミカルなんです。

エンジン内の潤滑
エンジンパーツは多種の金属部品によって構成されています。1分に数千回も動く金属同士が擦れれば、直接当たればそりゃもう傷だらけになります。それを防ぐために、部品と部品の間にオイルが油膜を形成し、潤滑しています。
燃焼室内の密閉性を保持
まずバイクのエンジンはどうやって動いてるのかを簡単に。
ガソリンと空気の混合したもの(混合気)をエンジンに引き込み、密閉状態にしてピストンで圧縮。それをスパークプラグで点火させ爆発させます。その爆発力でピストンを押し返し、上下運動を回転運動に変換してバイクを動かします。
その圧縮工程時に混合気が漏れないように、ピストンとシリンダの隙間を気密しています。
エンジンの冷却作用
エンジンを冷却する方法の一つとしてエンジンオイルでの冷却があります。冷却と言っても冷たいもので冷やすというよりは、70℃くらいのオイルで90℃のエンジンの温度を下げる、みたいな具合です。
エンジン内の熱を奪ったオイルはオイルパンやフレームを経由して冷却され、再びエンジン内へ戻っていきます。そうして循環することで温度上がりすぎないようにをキープしているのです。
エンジン内が錆びないようにする
エンジンは温度の変化幅が大きく、内部に水分が付着することもあります。金属の部品なので当然そのままでは錆びてしまいます。しかしエンジンオイルの油膜が張られていれば錆びることはありません。
錆びた部品は著しくエンジンのパフォーマンスを下げます。長く乗らずに何年も放置したバイクのエンジンなどはオイルが入っていても中が錆びていることがあります。
それを防ぐためには、定期的に乗ることでオイルを回してやることが重要です。
エンジン内を綺麗にしてくれる
エンジンを動かしていると、ガソリンの燃えカスであるスラッジやエンジン部品が削れた鉄粉等が蓄積します。あまりに多く蓄積すると燃費の低下や潤滑不良、最悪の場合はエンジンの焼き付きにつながる可能性もあります。
エンジンオイルはそのスラッジをオイルに内包して、オイル交換の時に一緒に排出してくれます。そのためエンジンオイルは真っ黒になって出てくるのです。
オイルの種類
2サイクルエンジンと4サイクルエンジン
ガソリンエンジンの場合、エンジンの運動工程が1サイクルで2工程と4工程のものがあります。
それぞれに2サイクル(2ストローク)エンジン、4サイクル(4ストローク)エンジンと言います。
この二つはエンジンの機構が全く違うので、エンジンオイルも違うものを使用しています。
2に4のオイル、4に2のオイルを使用すると、もれなくぶっ壊れます。自分でやる時は注意しましょう。
現行車両はほとんど4サイクル
2サイクルエンジンはエンジンオイルをガソリンに混ぜて一緒に燃やしてしまいます。
昨今は排気ガスの規制も非常に厳しくなっているので、2サイクルエンジンを搭載した車両はもはや絶滅危惧種です。
海外のメーカーなら少数ですが存在していますが、現在では圧倒的に4サイクルエンジンが占めています。
4サイクルエンジンはオイルを規程距離使用し、時期が来たら排出して新しいものを入れる交換式です。
タイトルでも書いたエンジンオイルの交換時期は、4サイクルエンジンオイルの交換時期を指しています。
二輪用と四輪用
バイク用と車用も違います。オイルが潤滑する部分にある部品が違うためです。
車はエンジン内部だけを潤滑していますが、バイクはエンジン以外にもクラッチやトランスミッションを潤滑しています。
ただ単に滑りがいいだけでは、クラッチもずるずると滑ってしまいクラッチが焼けてしまいます。
エンジンの標準的な回転数も違うので、オイルの硬さも大きく違います。
もちろん2に4のオイル、4に2のオイルを使用すると、もれなくぶっ壊れます。自分でやるときは注意しましょう。
鉱物油と化学合成油
二つのオイルは精製時に大きな差があります。原油から抽出する際に簡単な工程で抽出しているのが鉱物油。より複雑な過程でできるだけ不純物を取り除いたのが化学合成油です。
鉱物油はコストパフォーマンスに優れ、化学合成油は性能に優れています。この二つをブレンドした部分合成油というものもあります。
高温時や高負荷時にもパフォーマンスを落としにくいのは化学合成油の方なので、うちでは大型車やツーリングメインのお客さんには化学合成油を薦めています。
通勤や近場のみの方であれば部分合成油にされる方が多いです。ヤマルーブにも鉱物油はありますが、うちのお客さんで選ばれる方はほんの数人程度です。
ただ上記と違い鉱物油を使ったからすぐに壊れるというものではなく、むしろ交換を怠った方がリスクが高いです。それでも不純物が多いということは油膜が切れやすかったりということにも繋がるので、長く乗るなら化学合成油がおすすめです。

ヤマルーブの4サイクルオイル
4サイクル用のヤマルーブのオイルは6種類。うちスクーター用が二種類あるので、ミッション車は4種類です。
スタンダードプラス
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鉱物油なので価格が非常に安いです。長距離がメインだったりリッタークラスのバイクには少し不安ですが、近所でしか乗らなかったり、業務用バイク等で利用するのはアリだと思います。
スポーツ
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うちでは使用している方が一番多いオイルです。スタンダードよりは高性能で、コストパフォーマンスに優れた部分合成油です。250クラスはもちろん大型バイクでも使用されている方は多く、非常にバランスがいいです。
プレミアムシンセティック
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過酷な状況下でも安定したスペックを誇る化学合成油。ロングツーリングやサーキット走行等のタフなシチュエーションに強いオイル。高い酸化安定性能や油膜保持性能を誇り、蒸発も少ない。僕の09はずーっとコレです。
RS4GP
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ヤマルーブ最強のハイスペックオイル。レースで培った技術をフィードバックして生み出されたいわば最高峰。なかなか違いを感じ取りにくいのがエンジンオイルですが、ギアチェンジのスムーズさやスロットルレスポンスに変化を感じ取れるという声をよくいただきます。一度は使ってみたいオイル。
エンジンオイル交換はスペックを引き上げるものではない
エンジンオイルを定期的に交換するのは、車体をパワーアップしたりする目的ではありません。本来持っているスペックを最大限に発揮するための液体パーツなのです。
「オイルを交換したから良くなった」のではなく、「悪くなったオイルで半減していたパフォーマンスが戻った」が考え方としては正解です。
高次元でスペックを追求する場合は高グレードのオイルが適していますが、そこまでのスペックを必要としていなければ鉱物油でも構わないんです。
ただ僕はアクセルをよく開けたり一度に長い距離を走る方ならやはり高グレードのオイルをお勧めします。何十万も出して買ったバイクなのに、100%使い切れないのは勿体無いでしょ?

高いオイルは長持ち?
いきなり結論から言っちゃいますが長持ちするオイルはありません。オイルの寿命は使用環境によって変わることはありますが、オイルによって変わることはないです。
そもそも「長持ちする」とはどう言う状況を指すのでしょう?黒くならない?粘度が固いまま?前項の内容を見ていただければ分かると思いますが、オイル交換は何も劣化だけが理由ではないのです。
水が混じったりスラッジが多く蓄積したりすれば交換しなければいけませんし、距離は浅くとも時間が経てば酸化が進んだりと、期間と走行距離の両側面で考えなければいけません。
結局オイル交換の時期はいつ?
あくまで僕が整備士としてやってきた経験で導き出した答えではありますが、3000km、もしくは1年が理想的だと考えます。
ただ、ヤマハの取り扱い説明書やマニュアルには5000kmや10000kmと書かれていることがあります。ですがやはりそのぐらいの距離まで使うとオイルが多く減っていたり、汚れが飽和気味であることが多いです。
特に量の少ないスクーターはその症状が顕著で、オイルトリップに従って交換していたのにエンジンが焼けてしまったという例もありました。
どうしてこんなことが起こるのか?それは小排気量のバイクで車に混じって走っていると、どうしてもスピードを出しがちになるためです。大きなエンジンで出す60km/hと小さいエンジンで出す60km/hは、やはり後者の方が負担が大きいのです。さらにオイルの量も少ないので、余計に短いスパンでの交換が有効になります。
まとめ
色々お話ししましたが、複雑でわからなかった人は
- オイル交換は初回1000km、二回目以降は3000km毎
- オイルには用途に応じた種類がある
- 距離を乗っていなくても一年に一回は変えよう
とりあえずこの3つだけ覚えておけば問題ありません!エンジンオイルをキチンと交換するだけで、バイクはすごく長持ちします。逆に怠ると、1万kmも持たずに壊れたりもしてしまうんです。
オイルの交換時期がわかるオイルトリップがついていない車種は、スマホでメモなどを残して忘れないようにしましょう。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました!