「自分」でやることで、どんどんコストを削減できる。ただし知識は必要です!
整備や税金等何かとコストがかかるバイク。定期点検や消耗品の交換、任意保険や車検等購入時の金額だけでは乗り続けることはできません。
しかしお店に全てを任せていれば、どうしても人を動かす分コストがかかりがち。今回はそんな維持費を少しでも安く上げる為の方法をご紹介します。
ちなみに僕はショップで働く整備士という立場上、安全性に欠けると判断したコストカット方法はご紹介しません、あしからず。(自分でブレーキパッド交換等)
ユーザー車検
まず最初は小型二輪以上の車両の車検を自分で通す、という方法です。どこのお店も基本的には車検代行手数料をもらっているはずです。この金額は「あなたのバイクの車検を代わりに通す」という名目の料金なので、当然自分でやれば丸々コストカットできます。
車検の手順も覚えてしまえば難しくありません。実際自分で通されている方もおられますし、すんなり行けば30分で終わります。
ただし検査に引っかかってしまった場合は自分で対処を迫られます。この時点からバイク屋に持っていって「車検に通るようにしてくれ」と言っても即日対応はほぼしてくれません。この面倒な部分をしてくれる代金が代行手数料の本質とも言えるので、自分でやる場合はここが最大のリスクです。

検査不合格の原因
よっぽど曰く付きでなければ光軸がクリアできれば通ります。ですのでテスター屋で光軸の調整をしてもらってから行くと成功率が上がります。
他には僕の体感では「シフトパターンが書かれていない」「ナンバー灯が切れている」あたりが見落としがちです。「前回車検時から幅や高さが変わっている」場合は構造変更が必要になり、少し手順が増えます。まれに「排ガス濃度が不適合」というのもありますが、これは原因によっては自分で対処するのは難しいかもしれません。
検査前(後)点検
自分で車検に通すからショップでの点検はいらないということにはなりません。法定点検と車検は別のものです。車検は一定の基準に基づいてチェックをするだけなので、車検に合格したからと言って安全に乗れるというわけではないのです。店に依頼する場合は法定点検+車検代行がセットになっています。
車検前、もしくは車検後にショップへ点検を頼むのが一般的ですね。普段から定期点検等をお願いしている方なら、前検査時にユーザー車検に通すことを伝えれば相談に乗ってくれるところもあると思います。
パーツを自分で調達する
この方法は「パーツを持ち込みでも受けてくれるショップ」が存在することが前提です。全く受けてくれないところもあれば、条件付きでなら作業をしてくれるところもあります。
ネットには同じ部品でも非常に安いものが売られていることがあります。それを自らで購入し、取り付けだけはショップにお願いすれば安く手に入れることができるのです。店ごとに条件は違いますが、うちの場合は「割り増し工賃」「メーカー指定」「一見の方は不可」の3点です。

持ち込み時の条件(うちの場合)
割り増し工賃
規定工賃の◯倍で算出、といった具合です。それでも店で買うより持ち込んで取り付けの方が安く上がるケースもあります。店で買ってつけるといくらぐらいなのかを初めに聞いておくといいでしょう。
できないメーカーやパーツがある
ネットにあるノーブランドのパーツは付けない、違法改造と公道走行不可部品はNG等です。前者の場合、仮についたとしても動作不良を起こしたりした際に店で責任を負えませんからね。
一見の方お断り
一見の方のパーツ持ち込みをお断りしているのは、トラブル防止のためです。自分で取り付けようとして失敗したものを持ち込み、破損している部分を作業前に指摘したら「お前らが壊したんだろ!」と言ってこられた方がいました。あくまで当店で購入されたお客さんに限りますね。
詐欺サイトに注意!!
安い部品を探していると結構な確率で行き着く異常に安いサイト。実際はクレジットカードのデータを抜かれたり、お金を払っても部品が届かない詐欺サイトの可能性があります。他のサイトではせいぜい15%OFF程度のものが「60%OFF!!」みたいになっているとかなり怪しいです。
そもそもセキュリティがしっかりしていると閲覧すらできないこともありますが、普通に閲覧できてしまった場合の見極め方を記しておきます。

会社概要
詐欺サイトは実在する会社名を勝手に使っていることがあります。ですがその会社のホームページと詐欺サイトの住所や電話番号等を見比べると、デタラメなことが書かれています。住所をグーグルマップで検索すると空き地だったり、他の会社の住所と組み合わせていたり等。比較的容易に気がつけます。
取扱商品のジャンル
バイクパーツ以外にもやたら手広く商品が売られていることが多く、それでいて全てが極端な安値で売られています。明らかに異様なのでこれも気付きやすいです。写真も他サイトの無断転用だったり、ところどころ日本語がおかしいなども注意。
簡単な作業を自分で
グリップエンドやレバー、ミラー等簡単にできそうなパーツは自分で交換すると、工賃の分が安く上がります。慣れてくればもう少し難易度の高いこともできるようになり、ますますコストカットが可能です。
ただし失敗した場合は余計にお金がかかることがあるので、下調べはしっかりしてきちんとした手順でつけましょう。自分のできそうなラインまでで留めておく方が望ましいです。
他にもチェーン清掃や調整、レバー部の給油、タイヤの空気圧チェック等の簡単なメンテナンスも自分でできると◎です。ただ失敗時のリスクが他人を巻き込む可能性があるものは止めましょう。自分で変えた結果、走行時にマフラーが落ちて後続車に当たるとか洒落になんないです。

工具やマニュアルは自分で揃える必要がある
整備士は知識ももちろんですが工具が店に揃っているからこそ多くの整備をすることができます。よって自分で作業する場合は必要に応じて工具を揃える必要があるのです。
例えばチェーン清掃と給油をする場合はメンテナンススタンド、チェーンブラシ、チェーンクリーナーにチェーンオイルが必要ですし、プラグ交換時は最低限プラグレンチやラチェット等が必要です。
さらに取り付け時の規定トルクや正規の手順等はマニュアルが必要ですが、これはそもそもの整備知識ありきで書かれていることも多々ありますので、全くの0から始めるならこれだけでは不十分かもしれません。
失敗時は自分でリカバリーする必要があったり、時間も大きく割かれるということを考えるなら、「安く仕上げる」ことだけではなくて「整備を楽しむ」という側面も無いと辛いです。

普段のメンテナンスをサボらない
最終的に結局お金がかかるという意味で、メンテナンスをおろそかにするのはコストが上がります。オイル交換をサボればエンジンが焼けますし、タイヤの空気圧を見なければ早期摩耗、ブレーキパッド交換をしなければディスクローターも交換等余計な出費が増大します。
当然本来しなくてもよかった場所を直す必要があるので、余計なお金がかかります。数千円のエンジンオイルの交換をサボったが故に十数万円のエンジン修理が必要になるのは誰が考えたって無駄なことですからね。
一つ前の項目で解説した「自分でメンテナンス」をすればかなりのコストを削減できますが、自分で整備したり診断する自信がないポイントは整備士に任せておくほうが長期的には安く上がりそうです。

まとめ
- 事前にテスター屋で光軸を合わせておく
- 検査前、もしくは検査後に点検は受ける
- 手に負えない場合は結果的にコストが上がる可能性もある
- 受けてくれない店もあるので事前に確認
- 工賃が店舗購入よりも割高な場合がある
- 異常に安い値段が提示されている詐欺サイトには要注意
- 工具と知識はある程度必要
- 長期的にやらないなら工具が割高
- 失敗して壊すと自己負担
- 長期的に見れば安く上がる
- 走行時の故障リスクは大きく下がる
- 自分でできない部分だけ任せるのもアリ
以上が僕の考えるコストカットの手段です。このあたりを押さえても全然維持費が楽にならないというのであれば売却も考える必要があると思います。バイクは買って終わりでは無く、ランニングコストも考慮して購入しなければいけません。
自分でタイヤサイズや銘柄を調べて購入したり普段自分でオイル交換やチェーン清掃を行うことで、さらにバイクのことを知れたり愛着が湧いたりといいこともあります。全てできなくても自分にできそうなことだけでもいいんです。自分に合うスタンスで考えましょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!