いざという時

夏場によくある燃料ポンプの故障とその対処方法について解説!

夏場に頻発する燃料ポンプ不動、気が付かない人も意外に多い!?

この修理が多くなると「いよいよ夏も本番だな〜」とか考えるほど数年前には多くの車両が入庫してきました。少なくなったとはいえ今でもこの修理でご来店される方もおられます。

一体どういった症状が出るのか、どんな対処法があるのかを解説していきます!

症状と傾向

まず多いのは「エンスト後再始動不可」「目的地到着後再始動不可」です。通勤の行き帰りや朝一番の乗り出し時には症状が出ていないことが多いです。ですので通勤時の使用のみで帰りに寄り道しない人であれば気が付かずに乗り続けている可能性もあります。

他には「アクセルを戻すと止まる」ケースや「そもそも一発目から全くかからない」ケースもあります。

エンスト後再始動不可

このパターンはエンスト自体は別に原因があることがほとんどです。燃料ポンプが原因でエンストすることはあまり多くなく、エンスト後の再始動不可の原因になっていることが多いです。

ですので元々燃料ポンプがダメになっていて気が付かなかった人が、エンストの症状が出ることで初めて燃料ポンプが原因の始動不可を目の当たりにするパターンがうちでは多かったです。

この場合注意しなくてはいけないのは、「要修理箇所が一箇所ではない可能性」を考えておかなくてはいけないことです。整備士はもちろん理解していると思いますが、オーナーも修理期間や金額という側面からも把握しておいた方がいいでしょう。

目的地で再始動不可

これが発覚パターンとしては一番多かったものです。燃料ポンプは冷えているうちは正常に稼働していることが多いです。しかし走行して熱くなり始めると機能しなくなるのです。

エンジンがかかっているうちは問題ないのですが、止めて再びかけるときに動かなくなってしまいます。こうなってしまうといくらセルを回してもかかりません。ガソリンがインジェクターを通じてエンジン側に送られてこないためです。

アクセルを戻すと止まる

僕はこのケースをマジェスティ250でよく見ました。アクセルを開けながらならかかるが、離すと止まる。一見するとポンプ作動音がしているので大丈夫と思いきや、ポンプ圧力を測るとダメダメだったというものです。規定値の圧力に足りていないので、ガソリンが噴霧量が減ってしまうためです。

アクセルを開けるとガソリンを多く送るようにコンピューターから指示がいくので、圧力が低いながらも吹き上がるのですが、アイドリングは全くしなかったです。症状だけ聞くと燃料ポンプっぽくないんですよね。

そもそも一発目からかからない

症状は出ていたけれど気が付かず乗り続け、行くところまで行ってしまったパターン。ただ症状の特定は非常に楽なので、修理はすんなりといけるでしょう。

燃料ポンプってどんなの?

上の写真はシグナスの3型の燃料ポンプ。黒くて端子が二つ刺さっている部分が燃料ポンプになります。他にも燃料計やガソリンフィルター等がついており、アセンブリとしての部品設定であることがほとんどです。

ポンプモーターが吸い上げたガソリンをホースを伝ってインジェクターの方に圧送するというもの。ホース内には常に圧がかかっており、インジェクターを開くとガソリンが噴射され、空気と共にエンジン内の燃焼室へ入ります。

ポンプがダメになると圧力が弱くなったり、全く圧がかからなくなったりします。そうするとガソリンが送られなくなるため、始動不良になるのです。

ポンプが動かなくなるとインジェクターへガソリンが供給されなくなる為、エンジンがかからない

症状の見極め方

ほとんどのインジェクション車両はキーをオンにすると、「ウィーン」という音が鳴ります。この音がポンプモーターの動作音です。周りに車が走っていたりすると聞きづらい音ですが、ガソリンタンク付近に耳を近づけるとちゃんと聞き取れます。

この音が鳴っていない場合でさっきまでは乗れてた!というような時は、キルスイッチが入っているかポンプモーター不良だと考えられます。

耳を澄ましてよく聞いてみて

症状発現時の対処

  • 日陰に置く
  • ガソリンタンクを水で冷やす
  • ガソリンが少ないなら燃料を足す

もし冷えたことで復活するのであれば、上記3点で一時的にリカバリーすることができるかも知れません。ホースで水をかけたりすることで冷やせばエンジンがかかるようになることも多かったです。

水をかけてリカバリーはうちでもやってました

修理する場合

フューエルポンプをアセンブリごと交換する方法と、ポンプモーターのみを交換する方法があります。モーターを分解して修理するというのは、ポンプモーターの値段や作業工賃を考えれば交換よりコストがかかると思われます。

アセンブリでの交換の方が手間は少ないですが、部品代は高いです。対してポンプモーターのみの交換は部品代が安く上がりますが、取り外しに手間がかかることと、純正のポンプモーターをメーカーが販売していないため、社外メーカーの販売するモーターを取り付けることになります。

メーカーの延長保証で無償作業してくれる場合がある

国内メーカーの正規取扱車両であれば、メーカー保証で無償交換してくれることがあります。ヤマハであればシグナス・ビーノ・セロー・マジェスティ等が該当しています。

ただしヤマハの正規取扱店でなければ気が付かずに有償での修理をおこなってしまう可能性があるので、ポンプ不動の症状が疑わしい場合はYSPヤマハ正規販売店に相談しましょう。

逆輸入車は正規車両以外は保証対象外

一時期多かった台湾シグナスや、逆輸入車であった小マジェことマジェスティ125等は、国内ヤマハでの保証対象外となっています。故に症状が出た場合は実費で作業を行う必要があります。店舗独自の保証がついているなどすればその限りではありません。

まとめ

症状
  1. エンスト後再始動不可
  2. 目的地到着後再始動不可
  3. アクセルを戻すとエンスト
  4. そもそも初めからかからない

上記に当てはまる場合は、燃料タンク付近に耳を近づけてキーオン。ウィーンという音が聞こえればポンプは一応動いてはいます。もし動いていなかった場合は交換することになります。

修理する場合
  • アセンブリで交換。部品が高額。
  • ポンプモーターのみ交換。純正に部品設定がないため、社外品。
  • 車種によってはメーカー無償修理に該当することもある。

応急処置としては

  • ガソリンを足す
  • タンクを水で冷やす
  • 日陰に置く

で復元することもありますが、いずれにしても交換の必要があるので、エンジンがかかっているうちにバイクショップへ持って行きましょう。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!