前回に引き続きクラッチ大改造編!いよいよ実作業!

今回はいよいよ作業編です!前回用意した部品を組んでいきますよ。
僕の09は60,000km以上乗っているのでクラッチもだいぶ摩耗しており、寒い日の朝は凄まじい音を上げながらクラッチが滑り倒すのです。オーバーホールも兼ねての作業になるので、プレートも全て交換していきます。
エンジンオイルを抜くタイミング
作業前に抜いておいてもいいのですが、僕はガスケットの清掃をした後に抜くようにしています。オイルパンの中に削ったガスケットの欠片が落ち込む可能性もあるので、クランクケースカバーの合わせ面を清掃後に抜きます。
分解手順
クランクケースカバーを外す
まずは車体右側のクランクケースカバーを外し、クラッチを露わにします。その前にクラッチワイヤーをカムレバーから取り外す必要があります。
ワイヤーを外したらその後、カバーを止めているボルトを全て取り外します。カバーを取る際はカムレバーを少し動かすと外しやすいです。

クラッチスプリングを取り外す
10mmの六角ボルトで止めてある四つのクラッチスプリングを取り外していきます。その際一気に一本づつ緩めるのではなく満遍なく緩めていきましょう。

プレート類を取り外す
プレッシャープレート、クラッチプレート、フリクションプレート等を取り外していきます。再使用する場合は順番を記憶しておく必要がありますが、今回はフルオーバーホールなので気にしません。
とはいえ新品のプレートを取り付ける際にも順番があるので、組み付ける際は気をつけて組む必要があります。

赤=クラッチプレート
緑=プレッシャープレート
最後のプレートの奥には大きなワッシャーのようなものがあるので、こちらも忘れずに回収しましょう。後で再使用します。
クラッチボスを取り外す
ナットを外す
今回は後期のクラッチに換装する必要があるので、プレート類がはまっているクラッチボスも交換しなければいけません。この部品を締め付けているナットは特殊なので、普通に緩めても外れません。
相手のシャフトに切りかきが切ってあり、その部分にナットの内側を折り曲げることで緩まないようになっています。その折り曲げ部を起こしてから緩めなければいけません。無理にやるとシャフトに切ってあるネジ山が潰れます。

ボスを取り外す
ナットを緩めたらクラッチボスを取り外します。手前に2枚のワッシャーがついているので紛失しないようにしましょう。外す際は向きと順番の確認を忘れずに。

取り外すと奥に分厚いワッシャーがあります。無い場合はボスの後ろに張り付いていることもあるので、必ず確認しましょう。

組み付ける前に
ガスケットの除去
付着したガスケットの清掃を行います。スクレーパーやオイルストーンで清掃するのがスタンダードです。中に落ちてしまわないようにウエス等でオイルパン内への欠落を防ぎます。
その他にも部品や工具を落としてしまう心配もあるので、作業前にオイルパン側にウエス等を置くのは精神衛生上望ましいです。ボルトや工具を中に落とすとサルベージが非常に面倒なためです。

プレートの厚みを測定
全てのクラッチプレートとフリクションプレートを合わせた合計の厚みを測定します。組み付け前にフリクションプレートにオイルを塗布する必要がありますが、計測時は塗布してはいけません。

組付手順
クラッチボス
取り外し時と同じようにクラッチボスを取り付けます。シャフトに切られたスプラインに沿ってはめ込み、2枚のワッシャーと新しいナットをかけます。規定トルクで閉めた後、シャフトの切り欠き部分のナットを内側に潰すことで緩み防止をします。

このクラッチボスナットの締め付けトルクは125N・m。トルクがいい加減だと本当に緩んでしまうので規定値で締めましょう。

クラッチダンパースプリング・スプリングシート
先ほど外した大きなワッシャのようなものです。こちらの部品を順番に組み付けます。その際、向きと順番があるので気をつけましょう。

クラッチプレート・フリクションプレート
二つのプレートを交互に取り付けていきます。クラッチプレートは内側の凸凹、フリクションプレートは外側の凸凹にはめ込んでいきます。

順番はフリクションプレート→クラッチプレート→フリクションプレートの順番です。フリクションプレートにはエンジンオイルを塗布し、一番最後のフリクションプレートは今までのプレートと一段ずらした上で、プライマリギアに刻印されている丸印に合うようにします。

プレッシャープレート・クラッチスプリング
最後の仕上げです。プレッシャープレートを取り付けます。プルレバーを規定の位置につけてからセットし、アブソーバーをはめていきましょう。

その後クラッチスプリングを三カ所に取り付け、プレートをセットした後にボルトで締め込んでいきましょう。

クランケースカバー・ガスケット
クランクケースカバーガスケットとブッシュピンを取り付け、クランクケースカバーをセットします。カバーを付けてしまうと中のチェックはもうできないので、最後に閉め忘れ等がないか必ず点検しましょう。

カバー取付時は、プルレバーの向きに気をつけながらはめる必要があります。よしんばはまったとしてもクラッチのカムレバーの向きが合わなければ付け直さなければいけないので、カムレバーを外してから取り付け、カバーをはめた後に位置を合わせてつける方が確実です。


ケースカバー締め付け・エンジンオイル交換
ケースカバーがしっかりはまり、クラッチカムレバーの位置があったのを確認したらいよいよ仕上げです。ケースカバーを締め付けて、エンジンオイルを交換しましょう。

ちなみにちゃんとはまっていれば力づくでなくてもピッタリ合います。もし浮いているのならちゃんとはまり切っていないのでチェックしましょう。無理に締め付けるとケースカバーやプルレバー等が破損して、めんどくさいことに。
組み上がったらエンジンオイルを交換し、汚れをパーツクリーナーで拭き取った後にエンジンをかけましょう。最後は試乗して完成です。
まとめ
つらつらと説明しましたが、多分この説明で理解して組める人はハナからできる人だと思います。自分でやるのは結構ハードルが高く、工具もたくさん必要です。それでも今回紹介しようと思ったのは、なかなか手間なことをしているんだよというのが伝わればと思って書きました。
ちなみに換装後の僕の09ですが、クラッチレバーが体感3倍ほど軽くなりました。クラッチスプリングの数が半分に減ったので、その恩恵です。バックトルクも緩和されたので非常に乗りやすいです。
もし金銭的に余力のある初期型09乗りは是非!!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!