バイク選び

同一エンジンを使った2車種、新NMAXとシグナスグリファスを比較!

実際に乗って分かるこの2車種の違い

前回記事にしたR7とMTー07のように、同じエンジンで違う車種というのは結構存在しています。(ちなみにテネレ700とXSR700もMTー07と同じエンジンを使っているので、いずれレポートできればと思います。)

今回はついに水冷化したシグナスであるグリファスと、スマートキーになってますます使い勝手が良くなったNMAXという同一エンジン使用の2車種を実際に乗り比べて比較しました。

実際の走り

エンジンは同一のものを使っているのですが、ECU側や駆動系のセッティングで違いを出していることも考えられます。

フィーリング

ぶっちゃけスロットルを開けた時の加速感がまるで同じ。厳密には違うのかもしれませんが、さして違いを感じ取ることはできませんでした。特にアクセルをガバッと開けて可変バルブVVA(※1)が作動する感触が二つとも同じように感じたのです。

正直同じエンジンを使うにしても違いがあった方が面白いような気もしましたが、ミッションではないので自由度が少ないのも致し方ないのかもしれません。125ccで最高速にギア比を振る意味もメーカー的ないでしょうから。

ちなみに差を感じることはできませんでしたが、フィーリングとしては上々です。共に快適に乗れるエンジンフィーリングであることは間違いありません。

※1 可変バルブVVA=吸気側のバルブの作動特性を決めるカムが、高速時と低速時で切り替わるようになっている機構。全域でトルク特性を発揮できるようになっている。

左はNMAX、右がグリファス。こうしてみると同じ

足回り

この部分の違いはエンジンの次に顕著に違いが出るポイントです。ブレーキやサスペンションで乗り心地は大きく左右されます。

サスペンション

結論から言うならグリファスは硬すぎる。段差やブレーキング時にもゴトゴトするし、腕にもそれなりに振動があります。リアショックは一番柔らかくしてもまだ硬いと感じるほどでした。二人乗りを想定してるなら許される硬さかもしれません。

NMAXは快適で、純正としては余裕で及第点です。ブレーキ時や段差を越えた時にも不快に感じることはありませんでした。正直この部分だけならNMAXの圧勝です。

左はNMAX、右はグリファス。最弱に調整して尚硬いグリファス、好みもあるがやはり跳ねすぎる。

ブレーキ

まず二つのブレーキの機構は違うものが搭載されています。NMAXはABS、グリファスはUBS。台湾にはABSモデルのグリファスもありますが、国内正規販売モデルはUBSのみです。

ABSはブレーキが効きすぎて転倒したりすることを防いでくれますが、作動時の制動距離は伸びることになります。タイヤのロックを感知するとブレーキが緩和されるためです。ちなみにNMAXのABSは前後輪備わっています。

対するUBSはリアブレーキレバーを握ると、フロント側にも効力を発生させてくれます。前後バランスのいいブレーキングが可能ですが、感覚がわかっていないうちはブレーキがかかりすぎてしまうことも。

どちらも慣れてしまえば有益に使用することができますが、この辺りは好みでしょうか。

余談だがグリファスのようなウエーブ型のディスクは総じて高価なものが多い。

ライディングポジション

足の位置

グリファスは足元がフラットなボードなので足を折り曲げて前に置くポジション。伸ばして乗ることもできないわけではないですが、50ccにあるような一般的なスクーターの足位置になります。足元に鞄などを置くことも可能なので、このフットボードが決め手になる方もおられます。

対してNMAXは足を前に伸ばして乗るタイプ。足元真ん中ににガソリン給油口があり、その両サイドに足をポジショニングして乗ります。身長の高い方や足を曲げて乗るのが苦手な方がチョイスされますね。

足つき

それぞれのシート高はグリファスが785mm、NMAXが765mmと一見NMAXの足つきの方がいいように思われるかもしれませんが、実は逆です。

理由は幅にあります。前にYZFーR7を解説した時にも触れましたが、両バイクは幅が違います。スペック上の全幅ではなく、座席部分の幅です。

写真を見ていただければ分かると思いますが、NMAXの方は外装がシートの外に張り出すように位置しており、停車時はこの部分を避けて足をつかなければならないのです。ですので思っているより外側に足をつくことになります。

対してグリファス。シート前部に座れば真っ直ぐに足を下ろすことができるため、結果的に足つきが数字以上に向上しています。サスペンションが硬いので足つきという面でも不利だと思ったのですが、このカテゴリではグリファスに軍配です。

NMAXは外装が横に張り出している分、少しシート幅が大きくなる

 

電装系統

スマートキーとアナログキー

二つは鍵の対応も違います。NMAXは所持していると操作できるようになるスマートキー。対してグリファスは従来通りアナログのキーです。

スマートキーのセキュリティは高く、認証されたキーが近くになければたとえ中身を触ってキーをオンにできたとてエンジンをかけることが不可能です。スマートキーがイモビライザーの機能を兼ね備えているためです。いちいち鍵を差す必要がないので手間も減ります。

デメリットとしてはスペアキー作成時の手順が煩雑であること、キーユニット自体が効果であること、電池式なので切れると始動不能になることが挙げられます。後は車体ごとに割り振られた個別番号があり、その番号をなくすとスペアキー作成は不可能となります。そうなるとコンピューターごと交換という大掛かりな作業をしなくてはいけません。

グリファスのキーは一般的なキーの頭にキーシャッター用のマグネットキーが付属しているタイプです。セキュリティの面ではスマートキーの劣りますが、ハンドルロックとキーシャッターを併用すれば防犯対策としては及第点以上です。スペアキーの作成もスマートキーほど煩雑でも高価でもはなく、普通に鍵屋であればセットのものを作ってくれます。

メーター

どちらがいいというものではなく、単純に見た目ですね。とはいえ後発のグリファスのメーターは大画面になっており、見やすさという面では上かもしれません。ただ決め手になるかと言われれば微妙な気もします。

その他の相違点

NMAX

NMAXにはトラクションコントロールシステムが搭載されています。ヤマハの125ccとしては初めてです。安全面ではかなりのアドバンテージを誇るのではないでしょうか?他にはスマホアプリと連動させることで、メンテナンスレコードや車両情報を取得することができます。アイドリングストップも備えています。

グリファス

純正でUSBソケットを備えており、後で取り付ける必要がないのは嬉しいところ。メットインスペースは28L有り、NMAXより5L多いです。加えて価格がNMAXより10,000円安いです。

まとめ

僕の乗った感触で言うなら、

  • NMAX=走行性能を求める方・足元が窮屈なのが苦手な方・最新の機能を選びたい方
  • グリファス=足つきのいいものを選びたい方・荷物が多い方・タンデム機会が多い方

という棲み分けになるでしょうか。個人的にはNMAXを推します。走っているときの快適さが決め手になりました。ただグリファスが悪いと言うことでもありません。フラットスペースが欲しい方にはやはり重宝されますし、僕も足回りが今後改善されてくるなら結論も変わってくると思います。

同じエンジンでありながら相違点が多いこの2車種、自分の使用スタイルや好みに合わせて選んで大丈夫です!どちらがハズレとか言うこともありません。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!