2台を乗り比べて実際に感じた違い。

同じエンジンを使っているこの二つ。しかし実際に乗ればそれを感じさせないぐらいの違いがあります。
ただ試乗車がどこにでも出せるほど車両がない今、この二つを乗り比べられる機会が少ないのも事実です。
そこで今回は、バイクショップで働く人間がその特権を使ってじっくり2車種を乗り比べて感じた違いについて解説していきます!
購入前 価格設定
まずは二台の価格差。
- YZF–R7 税込999,000円
- MT–07 税込814,000円
二台の差は185,000円。この前提を持った上でこの後の記事を読んでいただけるとイメージが湧きやすいと思います。
走行前
まずは走り出す前に確認する三つの部分について。
足つき
やはり気になるのは足つき。シート高はR7が835mm、07が805mm。(ちなみにMT−25とR25は両方780mmです。)数字で見るなら07の方が足つきが良いのですが、この写真を見ていただきたい。

あまり差がないように見えませんか?どちらも踵までついています。(ちなみにモデルは172cm、頑張って下までつけようとしたりはしていません。あくまで自然に。)
どうしてシート高に反して同じような足つきなのか?理由はシート部分にあります。

この2車種はシートの幅が違います。R7は非常にスマートな車体で、シート部のくびれも07以上に絞っています。足を真っ直ぐにおろすことができる為、足つきは非常によく感じました。
車種 | MTー25 | YZFーR25 | MTー07 | YZFーR7 |
シート高 | 78cm | 78cm | 80.5cm | 83.5cm |
シート幅 | 24cm | 27cm | 24cm | 20cm |
ポジショニング
ネイキッドとSS。やはりライディングポジションは大きく変わってきます。

MTー07は上体を起こして乗るオーソドックスなライディングスタイル。対してYZFーR7はスーパースポーツ特有の前傾姿勢でのスタイルになります。
MTー07はやはり乗りやすいです。普段からバイクを乗り込んでいる人でなくても疲れにくく、09ほど大きくないので扱いやすいポジションでした。
対してR7。同じYZFシリーズでもR25は極端な前傾ポジションというわけではありませんでした。ですがR7はR6やR1のように、本格的なライディングスタイルで乗ることができます。
ただこのスタイルは慣れるまでは腕や首に負担がかかりがちなので、合わない方には非常に乗りづらい姿勢かもしれません。僕は個人的にはステップがもう少し後ろにあると乗りやすくなりそうだな、と感じました。
メーター
これはどちらが良いとかではないです。メーターがこういう感じである、というだけですね。好みはあると思います。

走行中
実際に走った時に実感できる部分の比較です。
足回り サスペンション・ブレーキ
ここが試乗時に一番大きな差だと感じました。結論から言うとこの部分のスペックはR7が圧倒的に優位を誇ります。
まずはサスペンション。リアはそこまでの差を感じることはありませんでしたが、フロントは凄まじい。R7はフルアジャスタブル倒立サスペンション、MTー07は基本的な正立フロントフォーク。この差は歴然です。
MTー07はブレーキングの際に跳ね回ります。伸びる時も沈む時も同じように上下するので強めのブレーキをかけた時は結構な暴れ方をします。
対するR7はプリロードと伸圧両減衰の調整が可能で、ブレーキをかけた際のショックの吸収力が段違いです。サスペンションが衝撃を緩和しながら稼働するので、07のようなガッツンとした止まり方にはなりません。

もう一つはブレーキ。こちらもリアよりもフロントの差が大きいです。
07は従来の横型マスターシリンダであり、R7は縦型のラジアルマスターシリンダ。R7の方がレバーを握った時に圧倒的にコントローラブルです。細かなブレーキング操作が容易であり、フォーク精度も相まって安定したブレーキが可能です。

このカテゴリは個人的には値段以上の差があるように感じました。仮に僕が所有するなら、07で一番最初に変えたいパーツはフォークですね。
クラッチ 加減速時・レバーの操作性
R7にはアシスト&スリッパークラッチが装備されています。これの影響で二台の加減速のフィーリングは大きく変わります。
A&Sクラッチとは、リアタイヤからの力がエンジンからの力を超えた時にクラッチの圧着力を抑え、バックトルクを緩和してくれるというものです。

MTー07はガッツンと来る加減速で、クラッチのつながり方もワイルドです。微調整は自らクラッチレバーで操作する形となります。このフィーリンングが好きで乗られている方も多く、慣れると非常に面白くなります。
対してR7は加減速時に非常にスムーズにクラッチが繋がっていきます。シフトダウン時のバックトルクも緩和されますし、発進時にも綺麗な加速曲線を容易に描くことが可能です。
風の受け方
やはりそこはフルカウルであるR7が一枚上手。ネイキッドであるMTでは体全体で風を受けることになるので、距離が伸びれば伸びるほど疲労に直結します。
ただ後付けでスクリーンを取り付けることもできるので、安価で対処可能な問題です。フロントフォークやブレーキとなるとかなり高額になりますからね。

まとめ
二台の差をここまで解説していきましたが、だからどちらを選ぶべきというものでは当然ありません。もちろん好きな方を選ぶべきです。
MTー09とMTー09SPのように同じ車両でハイグレードというわけではないので、自分の好みや使用用途に合うバイクを選んだ方が長く乗ることができるでしょう。
山道のワインディングやサーキットで使いたいのであればR7、ツーリングがメインになるのであればMT–07というふうになるでしょうか?積載性能を高められるのはMTの方です。
足回りの性能は後でカスタムすることで高めていくことができます。R7はこの価格でこの装備というのが魅力ではありますが、MTを後でアップデートすることもできるわけですしね。ただR7の初期スペックはお買い得感が高いです。
ここまでの内容が皆様の購入の参考になれば幸いです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!