フロントフォークオイルが漏れなくても、オーバーホールが必要です!
フォークオイルが漏れる理由は多々ありますが、大体がオイルシールが劣化してきた結果漏れ出してきています。なのでその時についでにオーバーホールされる方が多いのですが、実際乗っているだけでもオイルがヘタってきます。
オイルがヘタるとブレーキをかけた時にフォークがショックを受け止めてくれないので、スリップダウンを起こしたりすることにもつながります。速度やパワーが上がれば影響も大きくなるので、大型バイクに乗っておられる方は特に注意する必要があります。
ウチでは車検2回に1回ほどのペースでおすすめしています。走行距離が多いお客さんはその限りではありませんが。このあたりはお店によっても違ってくるかも知れません。
オイル漏れを起こすと?

写真のようなオイルの跡が残ります。触るとベタベタとしているのですぐに水ではないとわかると思います。ひどいと下のブレーキパッドまで垂れていることもあります。
サスペンションってなんの役に立つの?
路面状況に応じて上下することで、地面とタイヤとの接地を適切に保ってくれるものです。タイヤが跳ねれば縮んでショックを吸収し、地面と離れてしまわないようにしてくれています。
オイルが無くただのスプリングだけなら、地面からのショックでタイヤが浮き上がってしまいます。オイルが入っていることで程よい動きになるというわけです。さらにいいサスペンションになると「減衰調整」というものがついています。
これは縮んだり伸びたりする速度を管理しているものです。高負荷時にバネの張力とオイルの緩衝作用だけだと不十分であることもあります。そこで伸縮の速度を調整することで適切な挙動をさせることができるのです。

作業内容はどんなの?
フォークのキャップを外してオイルを全て抜き、外側の筒(アウターチューブ)に取り付けてあるオイルシールを取り外して交換します。
フロントフォークには正立と倒立があります。正立はアウターチューブが下側のもの、倒立フォークはアウターチューブが上側のものです。

オイルシールってどれ?

これがオイルシールです。外側のダストシールを外すと下側に見えています。さらに外すとこんな感じです。

銀色の筋のようなものは外周を覆うスプリングで、これが銀色のインナーチューブを締めることで、オイルが漏れ出さないようにしています。このスプリングがヘタってきたり、ゴムの部分が劣化するとオイル漏れの原因になります。
分解手順

特殊工具をセットして

トップキャップを外したら、金色のアウターチューブを外しオイルを排出。

今回のはそこまで汚れていません。やばいのは排水溝の水みたいな色してます。あとめっちゃ臭います。
シール類を組み付ける
オイルシール、ダストシール、サークリップを組み付けます。

オイルシールを取り付けるときはグリスを内側に塗って、保護テープ等でインナチューブを覆い、シールに傷をつけないよう細心の注意を払って取り付けます。

取り付ける順番にインナーチューブ側にセット。

ダストシール→サークリップ→オイルシール→ワッシャー→スライドメタルの順に取り付けます。

特殊工具を使って順番にオイルシールを打ち込みます。注意しないとスプリングがダメになってしまいます。シール類を全て取り付けたらオイルを注入していきます。
泡が立たないように斜めにしてゆっくり入れていきます。オイル量は決まっていますが、エア抜きをしなければいけないので、アウターチューブ上端あたりまで注入します。

特殊工具をロッドに取り付けて上下させ、内部に残るエアを抜きます。さらにアウターチューブも10回ごとぐらいでロッドと交互に上下させます。万が一エアが残ってしまった場合はオイルの量が変わってしまい、フロントフォークの挙動が正常ではなくなります。

エア抜きが終わったら規定のオイルレベルに調整します。工具を使ってアウターチューブ上端からの規定深度で吸い出します。その後はスプリングやスペーサーを取り付け、組み上げて終了です。完成後は手で押してみて異常な動きをしていないか確認します。
サスペンションは違いが強烈に実感できるパーツ
バイクのカスタムパーツには実際に違いを体感できるカスタムと、全然違いに気がつかないカスタムがあります。サスペンションは間違いなく前者です。
違いが分かりにくいものとしては、スパークプラグ・エンジンオイル等があります。オイル等は人によっては違いを顕著に感じ取れる方もおられますが、プラグはほぼわからないです。
しかしサスペンションは確実にわかります。高速時の安定感、段差を超えた時、ブレーキをかけた時等、非常にわかりやすく変化します。特にサスペンションは金額の張るカスタムではありますが、圧倒的に乗りやすくなるので、おすすめのカスタムポイントです。見た目もかっこいいですよ。

リアショックもオーバーホール可能
リアショックは基本的には非分解ですが、専門業者に依頼することでオーバーホールが可能です。特に社外品の高額なリアショックは早々に交換できるものではないので、オーバーホールに出すのが良いです。ショップを通して可能なはずですので、気になる方は相談してみてはいかがでしょうか?
ただしかなりの日数を要する場合もあるので、オフシーズンに出しておくのが賢明です。
まとめ
走行距離が多い方や購入して5年以上経つ方は、一度サスペンションのオーバーホールをすることをおすすめします。突然劣化するわけではなく、じわじわと下降線を描いていくため気がつきにくいですが、いざオーバーホールすると新車の頃を思い出せます。
特にスーパースポーツやスポーツネイキッドには良いサスペンションがついていることが多く、ノーメンテナンスで乗り続けるのはせっかくの高スペックが台無しです。定期的なメンテナンスを心がけましょう。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!