いざという時

ミッションバイクのクラッチにありがちな故障とトラブル

ほったらかしにしておくと、とっても面倒なことに…

「前に進まなくなりました!」ってお電話が二年に一回ぐらいあったりします。どういうこと?と思うかもしれないですが、クラッチがダメになっちゃうとそんなことも起こり得るんです。

クラッチってどんなの?

あれを実際に見たことがない人もいるでしょうし、クラッチの仕組みがわからない人もいると思うので、まずは簡単にクラッチの説明をしましょう。

まず見た目はこんなの

部品はこういった感じのものです。実物を見たことある人はセルフメンテナンスガチ勢か、整備士かどちらかだと思います。

写真は「ラックアンドピニオン」というタイプのクラッチ機構

クラッチがつながっている時

上記の部品を真横から見た図で、クラッチの解説をします。絵が下手でほんとに申し訳ない。まずは接続時のクラッチ。

ほんとに何となくで見てもらえれば大丈夫

クラッチを切っている時

今度はクラッチを切っている、すなわちクラッチレバーを握っている状態。

分かりましたか?わかった人は僕より整備士に向いているかもしれません。僕は絵を見ただけではチンプンカンプンでした(^_^;)

ちなみにわからなくても構いません。自分で整備するならいざ知らず、乗り手が構造をきちんと理解できなくても大丈夫です。やってはいけないこととダメになった時の症状さえわかればOK!

実際どんなことが起こるか?

で、次はどんな故障が実際にあったか?というお話です。上の説明がわからなかった方はここから先が分かれば今日は十分な収穫です。

クラッチ繋いでるのに前に進まない

クラッチ周りでは一番多い修理です。全く進まないのは稀だとしても、繋いだ時の推進力が弱くなったりする症状が多いです。

「フリクションプレートの摩耗」が主な原因となるでしょうか。後は人為的なもので言えば「プレートの焼き付き」が原因です。

フリクションプレートの摩耗

これは特別原因があるわけではなく、長く乗っていれば起こり得ることです。スパンが短い部品では無いとはいえ、やはり消耗品であるプレート類。削れてくればつながった時の伝達力が低下していきます。

距離や年数で交換時期を測れることはまず無く、その人の乗り方や車両特性によっても大いに変わってきます。まだ乗れているうちにオーバーホールがおススメです。

プレートの焼き付き

焼き付く原因で多いのは

  1. ぬかるんだ地面にタイヤがはまってしまい、抜け出そうとしてアクセルを開け続けた。
  2. クラッチを繋ぐ際にエンストを恐れすぎて、半クラで高回転にしがち。
  3. クラッチワイヤー等の調整がうまくできておらず、レバーを放しても完全につながっていない。

というのがよくありますね。

1はオフロードを走る方に多く、2はバイクに慣れていない方、3は自分で調整したら失敗した方、という感じです。

二種類のプレートが中途半端に繋がったり滑ったりを繰り返すと、摩擦熱が耐用温度以上になってプレートが焼け、その結果摩擦係数が低下して動力が伝達されなくなります。

判別する方法としては、オイルの匂いです。オイルのフィラーキャップを開けて確認した時に、焼けた匂いがするのですぐにわかります。「この匂いはヤベエw」と思わせる不快な臭いなのですぐにわかるはずです。

こうなったら待ったなしでオーバーホールですが、どこまで焼けているかは分解してからの判断ですので、通常よりコストがかかる可能性があります。

焼けたクラッチプレートはわかりにくいが鮮やかな焼き色がついている

クラッチが切れない

今度は逆です。レバーを握ってもクラッチが切れない場合です。全く切れなくてもシフトの入りが悪い等の症状として現れたりもします。こちらのよくある原因は3つ。

クラッチワイヤーが劣化している

古くなってきたり長い間給油をしない状態が続くと、クラッチワイヤーが劣化してレバーを握ってもクラッチが切れないことがあります。内部がほつれてくることで目一杯握っても100%稼働しないことが原因です。

ちなみにそのまま放っておけば間違いなく切れるので、早々にクラッチワイヤーの交換をしましょう。

ちなみ僕は自分のバイクのクラッチワイヤーを走行中に3回切りました。やむなくクラッチなしで変速して帰りました(泣)
油圧クラッチの場合

油圧ブレーキと基本的には同じなので、ブレーキオイルが劣化してくると綺麗にクラッチが切れなくなる可能性があります。ブレーキオイルと同じスパンで交換することをオススメします。

プレートが貼り付いている

クラッチプレートとフリクションプレートがガッチリと貼り付いてしまい、レバーを握ってもお互いがフリーにならないということが起こります。長い間乗らないと起こる現象ですね。

エンジンオイルが劣化し変質した結果接着剤がわりになってしまったり、水分が付着して錆びて張り付いてしまうのが理由です。毎日乗ってれば基本的には起こりません。

軽度なら一度ギアを入れた衝撃で剥がれることもあるのですが、人力のみで剥がすのがめちゃめちゃ大変なぐらい張り付くことも多く、そうなったらもう交換しちゃった方がいいです。一度貼り付いちゃうとまた同じことになりやすいので。

本来は緑の部分で分割するが、外せなくなる

プレートが引っかかる

フリクションプレートの外側の突起、クラッチプレートの内側の突起が引っかかり、プレートの隙間がうまく開かないことがあります。突起部が摩耗してしまったことでプレートが斜めになったりすることで起こります。

分解して突起部の幅やプレートの厚み等を計測し、規定値以下なら交換するという方法を取ります。

普段から気をつけておくこと

乗り方に気をつけることと、メンテナンスをきちんとすることで大幅に長持ちさせることができます。

遅くとも年に一回はオイル交換

全然乗らないからといって何年もオイル交換をしないと、それが原因でクラッチ不良も起こり得ます。一年に一回程度はオイル交換をオススメします。

放置せずに時々乗る

クラッチの為だけでは無くバイクの他の部分にもプラスに働くので、置きっ放しでは無くエンジンをかけて走行してあげましょう。

クラッチワイヤーの張り具合は定期的に確認

遊びが多くても全く無くてもよくありません。定期的にチェックをしましょう。半クラ位置が近すぎても遠すぎても悪い影響を及ぼします。

発進時に回転を上げすぎない

僕が過去にYZF−R15に乗っていた時、排気量が小さいために加速が悪いのでかなり高い回転数から発進させていました。するとすぐにクラッチがすぐに滑り出し、ますます回転数を上げないと進まないという負のスパイラルに入ってしまいました。

初心者の方はエンストを恐れて高回転にしてしまうこともありますが、クラッチに非常に悪いので頑張って慣れましょう。

まとめ

よくある症状

クラッチが繋がらない
  1. フリクションプレートの摩耗
  2. クラッチ焼き付き

クラッチが切れない
  1. クラッチワイヤー劣化
  2. クラッチ貼り付き
  3. プレート突起部の摩耗

普段からできる対処

  1. 乗っていなくても一年に一回はオイル交換
  2. たまにはそれなりの距離を乗ってあげる
  3. ワイヤーの張り具合は普段から気にしておく
  4. 発進時の半クラで回転数を上げすぎない

いくらエンジンがかかってもクラッチが健全でないと走れたものではありません。普段から気にかけておいていつもとの違いに早めに気がつけるようにしておきましょう。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!