43年続いたヤマハバイクの代名詞!
ヤマハと言えばSR400!という方も多いのではないでしょうか?
2021年に惜しまれつつも生産終了したこの車両は、長い間多くのユーザーの心を掴んで離しませんでした。
何度も生産終了の話がありながら、43年もの間初期のコンセプトを曲げることなく細かなアップデートを繰り返し、唯一無二の存在感を手に入れたバイクです。
今回はこちらの車両を紹介していきます!
SR400の魅力
語り尽くせないほど多くの魅力に溢れた車両ですが、ここでは5つの要素について書いていきます。
クラシックなデザイン
43年前に誕生したバイクにもかかわらず、世代を超えて愛され続けたSR400。その重厚でクラシックなデザインは老若男女を問わずライダーに愛されています。
新しいバイクが新機能や近代的なスタイルでどんどん革新するのを尻目に、ブレることなくそのフォルムを貫きました。
時代に左右されることなく常にカッコいいんですよ。古いとか新しいとかそういう概念で括ることのできないものですね。ビートルズやローリングストーンズが懐メロとしてではなく、常にロックンロールとして語られるのに近いかなあと僕は個人的には感じています。(あくまで個人の感想です)
銀色に光るエンジンやスポークホイール、タンクの形状や未だに残るアナログな機械類。もちろん変わったことで生み出された良さもあります。実際少しづつ変化を遂げてきましたから。
だけどこれだけの年月、誰が見てもSRだとわかるアイデンティティを形成し、車種としてではなくもはやジャンルとして「SR」を築き上げています。
無くなってしまったのが本当に惜しまれる(;_;)

キックスタートが映える
またしても見た目のお話ですが、今度はライダー側のビジュアルです。SR乗りが一発でキックでエンジンをかけているのを見たら、かっこ良くないですか?
え?SR乗ってるなら当たり前?まあ、そりゃそうなんですけどね。出来なきゃ乗れないし。でもそれが当たり前にできる、っていうのがカッコいいんじゃないですか。
昔はセルモーターがついてる車両の方が少なかったし、キックが当たり前だったかもしれませんが、今やキックスタートオンリーというのはむしろ希少価値なんですよ。
スンナリかけられれば、ツーリング中の休憩で立ちよったコンビニや道の駅で「おっ!」と思わせちゃうかも!?

いかにもバイクに乗っているというフィーリングを味わえる
400ccの単気筒エンジンは、公道を走行する速度で非常に心地良い振動を生み出します。言わばバイクの鼓動・脈動のようなものですね。バイクのエンジンが生きている!っていう感覚を体で感じることができるのです。
さらに紡ぎ出されるサウンドからもその感覚を感じ取ることができます。何度乗ってもワクワクできますし、「まさに今自分はバイクに乗っている!」ということが強く感じられる、そんなバイクです。

カスタムの自在性が高い
SR400のカスタムは本当に無限大です。
MT-25の項でもお話したネイキッドバイクのカスタムの自由度についてお話しましたが、SRはさらに上を行きます。

カフェレーサーやトラッカー、チョッパーにクラシック等、オーナーの数だけオリジナリティが存在していると言っても過言ではありません。
あまりに自由度が高いので、いざカスタムとなってもめちゃめちゃ迷います。
ノーマルで完成している一つの作品でありながら、カスタムの自由度も高い。一台で一生乗ることも馬鹿げた話でもないんです。

乗りやすく扱いやすい(年式次第)
これは現行車に近ければ近いほど言えることです。そもそもビッグシングルなので初速のトルクも厚く、過去のものに比べてキックスタートでの始動も容易になりました。
逆に古い年式になればなるほどクセが強くなるので、初めてのバイクでSRが欲しい方はFI車をお勧めします。
ちなみに過去の記事でキックスタートは初心者には不安であると語っています。

しかし、インジェクション車は練習すれば95%以上の方がかけられるでしょう(当店調べ)。ウチのお客さんでかけられなかった方は試乗の方を含めてもお一人だけでした。(ちなみにその方は早々と諦められたましたので…)
「見た目が好きだけどキックスタートが不安…」という方はお店でエンジン始動の練習をさせてもらいましょう。まともなショップなら練習に付き合ってくれます。
SR400を手に入れるなら越えるべき壁であるキックスタートですが、難易度は昔に比べると格段に下がったので、迷っていた人も是非挑むべきでしょう。
ちなみにキャブ車のキックはなかなか難易度が高いです。挑むならそれ相応の覚悟を持ちましょう。

SR400を選ぶことのデメリット
やはり車種ごとにウィークポイントはあります。完全無欠なバイクは存在しません。
SR400のデメリットってなんでしょうか?
高速での走行
いわゆるスポーティーな走行には向いていません。エンジンが単気筒で400ccあることや、足回りの性能がアクティブなライディング向きではないんです。
峠や街中をゆるりと流すツーリングがハマるSR400ですが、高速道路ばかりのロングツーリングになると少しつまらないかもしれません。
高回転には圧倒的に不向きなので、最高速を求めるとせっかくの鼓動感がキツい振動となって足枷になります。
とはいえハイスペックカスタムを施して乗る超こだわり派もいるので、できなくはありませんよ。ただしSRをベースでそっち側のカスタムは、金額の方も凄いことになりそうです。
メンテナンスや機能がアナログ
電子制御化したと言っても、車体の大部分は昔のものを継承しています。それを残して現代にマッチさせてきたので、当然とも言えます。
他の現行車種ならオートで調整してくれるものが手動だったり、メーターが未だアナログ、タイヤもチューブタイヤである等です。
この不便さを含めてSRなので、そもそもこの部分をデメリットと感じる人がいるかどうかわかりませんが、乗る前に把握しておく部分ではあるでしょう。

部品が高価である
SR400はディティールにこだわり抜かれた美しいデザインが、アイデンティティを形成する重要なファクターですが、これらの部品が結構高価です。
ガソリンタンクやフェンダー、メッキのクランクケースカバーなど、いざ交換となると数万円はかかってきます。
一度転倒してしまうと、損傷箇所によっては修理代はそれなりに覚悟しておいた方が良さそうです。
エンスト後の再始動が面倒
もしクラッチを繋ぎ損ねたりバイクの不調でエンジンが止まってしまったら、キックで再始動しなくてはいけません。セルがついていればスイッチですぐかけられることを考えれば、これは手間です。
交差点等で止まると非常に焦ってしまうことになりかねません。後ろからクラクションでも鳴らされようものなら余計です。
僕は納車時に「急かされたりしても焦らずに行動してください。焦ると二次被害につながります。」とはお伝えしています。焦ってパニックになって事態が好転することはまずありませんので、後続車に頭を下げて路肩に動かすなり再始動するなりすればいいんですよ。
その不便さも全てひっくるめてSR
こうしてSRのデメリットを探して書き綴りましたが、乗っておられる人からすれば「そんなこと当たり前だろ!SRってそういうバイクじゃねーか!」と言われるかもしれません。
実際SRはツアラーやスクーターのような快適性を備えているとは言えません。ですがウチで乗っているお客さんでそのことについて不満を言う人はおられません。その足りないものも不便なところも全て合わせてSRの魅力です。
定期的に自分でボルト類の増し締めをするようになったり、疲れない乗り方を考えたり、快適にするためにカスタムを試みたり。自分の生活の中でバイクが占める割合が増えてくるんですよ。
まるで手のかかる子供みたいに。
そこが面倒だし、そこが楽しい。
そうして“自分だけ“のSR400を作り出せることが、このバイクの最大の魅力なのかもしれませんね。

中古を探してる人、ちょっと待って!
ここまで見てSR欲しい!と思った方。ちょっと待ってください。
今すでにこの記事を書いている時点で新車はほとんどありません。YSPやアドバンスディーラーと言われる正規取扱店が持っている在庫分で終了です。
となると中古車になるのですが、今べらぼうに高いです。理由は転売が横行しているからです。明らかに値段の吊り上げが行われています。
ファイナルエディションのリミテッドモデルを購入し、即オークションで転売しているものもちらほら見受けられました。
限定車を筆頭に相場が底上げされており、通常モデルですら中古車は新車定価を超えてきます。今は異常な相場です。高いものは180万円というものまであります。(SRの定価は限定車でも税込748,000円)
明らかに値段に見合っていません。中古を買うのは少し待った方がいいです。
「一生手に入らないかもしれないだろ、無理してでも買うべきだ!」と思う方は、購入後に維持費もかかることをお忘れなく。
SRは市場に結構出回っています。なのでいずれ価格帯も落ちてくると僕は踏んでいます。コロナ禍で他の新車が満足に供給されないことも関係しているでしょう。
新車が潤沢に出回りはじめ、ヤマハがSR400の後継となれるようなバイクをリリースしたりすれば限定車以外は適正価格まで落ち着くのではないでしょうか?(確実とは言えませんが)
もし高いままだとしても、自分の許容範囲を超えている価格で買うべきではありません。維持できなくなったらどうせ手放さなければいけませんからね。
限定車がいいなら部品を交換すればOK
車両ごとに割り振られたシリアルナンバーはどうにもならないですが、タンク・サイドカバー・シート等を交換すれば、限定カラーのバイクは作れます。180万あれば2台作れますよ(笑)。
ウチでも過去にヤマハの60th記念モデルの外装を組んだSR400を販売したことがあります。こういったカスタムが逆に前項でも話した「自分だけのSR」を形成するのに重要な役割を果たしてくれるんです。
投資で価値が上がったら売るつもりならいざ知らず、乗るために所持するなら自分の思うように作り上げていけばいいんです。
まとめ
SRのいいところ!
SRの弱いところ
残念ながら今は手に入れにくくなってしまっていますが、それでも適正な価格で販売してくれるショップは存在します。
本当に魅力的なバイクなので、皆さんが適正に手に入れられる市場相場になることを願って止みません。
もし買うことができたら、大事にしてあげてください。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!